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魚探(魚群探知機:Fish Finder)



自前のボートで釣行する場合だけに限りませんが、ポイントに対する情報量が少ないと期待した釣果は望めません。知人から聞いた好ポイントや、通い詰めて幸運にも見つけた「自分だけのピン・ポイント」に「山立て」で望むこともできますが、正確なポイントにたどり着くのは結構難しいものです。そこで「魚探」の登場となるのですが、最近は性能の割に価格も安くなり、ミニ・ボート・ユーザにも身近になってきました。


魚探購入の動機

ボートを手に入れてから何度かの釣行を重ねましたが、陸上の地形や大まかな海図を見て「この辺りは良さそうだ」と、海面下の様子を想像しては仕掛を入れるのですが、なかなか良いポイントには出会えません。「いずれは GPSプロッター付き魚探を...」と早い時期から思っていたのですが、葵ソニック株式会社(SONIX) から、小型で低価格、一通りの基本性能を備えた製品が発売されているのを知って、思わず購入してしまいました。

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SSV-31について

モニタの取り付け1→クリックで拡大 写真がマイ・ボートに取り付けた 葵ソニック株式会社(SONIX) 製の「SSV-31」です。画面サイズ 3.8インチ、本体寸法 W145×H145×D82 mm と小型ながら、カラーGPSプロッターと魚探機能が一通りそろっています。最初は普及サイズの 6型を予定していたのですが、「普及」といってもミニ・ボートには少し大きく(W275×H180×D120)、価格も倍以上するので、お手軽な本機の選択となりました。製品概要及び性能は同社のホームページでご覧下さい。購入に際しては地図ROMがオプションで 1個追加できるため、「日本海」と「東海」を選択して発注し、振動子はイケス内の船底に取り付けることを前提に200kHzの丸形振動子を選択しました。

実際に使用しての感想ですが、ほとんどの機能は初期状態で使えます。一度セットしてしまえば、それほど頻繁な操作は必要ないと思われますが、機能が豊富なこともあり、A4一枚に収まるキー操作表 SSV-31キー・テーブル ( ※ウィルス・チェック済み )を Excel で独自に作成し、釣行時にはラミネータ・フィルムでパックしたものを必ず持参するようにしています。

魚探およびGPSプロッターの性能は、10万円を切る価格設定としては申し分ないと思います。欲を言えば、バック・ライト付き液晶画面ではないため、マズメ時や夜間は照明を当てないと画面表示が見えません。「バック・ライト付きがあったら良かったのに...」と思っていたところ、最近、「SSV-31L」というバック・ライト付きの姉妹品が新製品で発表されました。今後はこちらを購入する人の方が多くなると思います。価格は2万円高くなりましたが、それだけの価値はあります。ただ、バック・ライトが付かない 3.8インチ画面でも昼間の表示は鮮明で、近くが見えにくくなった私の目でもはっきりと確認できます。

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苦労をした振動子の取り付け

魚探を使用するためには、超音波を送受信する「振動子(センサ内蔵)」の取り付けが必要です。前述したように、イケス内にシリコン系接着剤で貼り付けるつもりで 200kHzの丸形振動子を購入しました。丸形振動子は元々インナー・ハル及び船底貼付用のもので、SSV-31の場合、200kHzか120kHzのいずれか一つを使用できます。周波数選択は、120kHzの方が広い範囲を観察できるのに対し、200kHzは範囲が狭くなります。逆に200kHzの方が解像度が高くなります。出来るだけ広い範囲で高い解像度が望ましいのですが、1種類しか振動子を取り付けらないので、解像度の高い200kHzを選択しました。(※魚探によっては2種類の振動子を併用できるものもあります)

振動子の取り付けは、最初に予定していたイケス内後方の船底にシリコン系接着剤で貼り付けました。一週間ほど後、初めての魚探を試すための釣行を行いましたが、画面は海面から下が「真っ赤」に写り、海底や魚群どころではありませんでした。推定される原因は、夏の暑い日に屋外で接着作業を行ったため、接着剤中に気泡が発生したためのように思われました。確かに、振動子の回りからはみ出した接着剤(透明のものを使った)には小さな気泡が沢山見えます。

仕方がなく再作業をすることにしましたが、一度接着したシリコン系接着剤はなかなかはがせません。スクレッパーを使って、イケス内を傷つけないよう丁寧に取り外しました。今度は、接着直後に気温が上がらない時間帯を見計らって作業を行いました。結果は気泡も入らず、理想的に取り付けられたようです。最初に作業してから十日ほど経ちましたが、再び釣行して試すことにしました。結果は...残念ながら画面は相変わらず真っ赤なままです。こうなると、人間というものは責任を自分以外に転嫁したくなるものですが、「振動子が故障しているのでは?」という身勝手な判断になります。振動子が故障していてもいなくても、いずれは振動子を取り外さなくてはならないので、再び大汗をかいて取り外すことになります。

再三の作業となるわけですが、「振動子の故障」を判定する資料として、もう一度釣行して、今度は振動子を手持ちで海中へ入れてみることにしました。すると...感動ものでした。はっきりと水深や海底の状態が表示され、あっさり「振動子故障説」は取り下げとなりました。結果的には、これも推測ですが、一層だと思っていたイケス内の船底がインナとアウタの二層構造で、中間に薄い空気層が存在するため正常に機能しなかったと思われます。こうなるとイケス内への振動子取り付けはあきらめ、思い切ってハル外への取り付けを検討しなければなりません。色々検討した結果、以下のような取り付けとなりました。

振動子1→クリックで拡大 イケスの船底に穴を開けて振動子を取り付けるほどの勇気はありませんし、船速が増すとバウで発生した泡がミッドシップ辺りまでの船底を通るので、泡が魚探の写りの邪魔をすると聞いたこともあります。最終的な判断として、写真のようにトランサム下部、右舷側に振動子を取り付けることにしました。船底から振動子下面にかけての繋ぎ目に隙間ができると、泡の発生・巻き込みを起こすので、10mmのアクリル板にホルソーで穴を開けたベースを作り、その穴に振動子の丸い部分を差し込み、アクリル板下面と振動子下面が「ツライチ」(平面)になるようエポキシ系接着剤を充てんしました。10mmのアクリル板は手元になかったので、5mmのアクリル板を接着剤で貼り合わせています。

振動子2→クリックで拡大 振動子3→クリックで拡大 次に船底面に対し約 5°下向きに振動子下面が位置するよう、振動子上部を支えるステーをステンレス板で製作しました。5°の取り付け角度は、メーカの説明書(約 3〜7°)を参考にしています。この部分は結構大きな圧力が掛かると思われるので、振動子の上下で強固に固定できるよう配慮しています。トランサムとアクリル板端部の接着は、例のごとく セメダイン株式会社 の工業用粘着接着剤「スーパーX」を使用しました。船底の縁にガムテープを貼って位置決めをし、最初の接着を行います。約 1日後、船底とアクリル板のつなぎ目に出来た溝を埋めるように接着剤を再充填、船底から緩やかに下方に向かうよう取り付けました。なお、水温計用のセンサも写真のように後付け(接着剤で直付け)しています。

振動子の配線→クリックで拡大 振動子から出る配線(直径約 5mm)は、そのまま上方向にガンネルの下側から穴を開けて船内へ導きました。さほど防水を考慮しなくても良いのですが、ハルを挟んで表裏から水道蛇口用ケレップのゴム・パッキンを接着剤で貼り付けました。水温センサのリード(直径約 3mm)も同様に船内へ導いています。いずれも接続コネクタが付いていますので、一旦ハンダを外し、配線を通した後に元のようにハンダ付けで復帰しています。

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2002年 5月18日
魚探の性能

さて、苦心して取り付けた魚探のセンサですが、実際に釣行した場合の映り具合についての記述を忘れていました。魚探センサをトランサム後部下に取り付けたため、滑走中の水泡の影響を受けないか心配していましたが、荒天でなければ、12〜13ノット程度まで問題なくクリアに描写されます。風波が多い場合、船速を上げると波の影響で雑音が入ります。また後進状態では、余程低速でない限りスクリュウの影響を受けます。

総合評価としては 95点くらいでしょうか。5点は水深の無い分、風波の影響を受ける点を減点にしました。しかしながら、常用範囲である船速 10ノット以下では殆ど問題なく、快適に使用できます。

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本体の取り付け

モニタの取り付け2→クリックで拡大 本体は付属のステーを利用して取り付けました。船内にロッド・ホルダー用の 15mmラワン材の立て板があったので、それを利用して水平の棚を取り付けました。付属のステーは平面にビス止めで固定するように小穴が開いていたのですが、ステーの底中央に10mm程度の穴を開け、そこに8mmのボルトを通して棚板に取り付けました。こうするとボルトを中心に左右に振ることが出来るので、モニタを見やすい方向に合わせることが出来ます。なお、写真を拡大すると見えると思いますが、本体上部から後方にかけて厚手のビニルを被せています。これは、海水の「しぶき」が本体に直接掛からないようにする配慮です。本体は防水なので心配ないようですが、釣行から帰るとコネクタ回りに塩が吹いています。少しでも掃除の手間を減らすために行いました。

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思わぬ効果(スタビライザ)

最近になって気付いたのですが、振動子を取り付けてから、航行中に右方向に流される傾向があることが分かりました。その傾向は、1. 船外機を前進中立に保つのに少し力が必要で、手を離すとゆっくり右旋回をする、2. 進行方向を右にする(船外機前部を左に向ける:右の後部に座っているので、船外機のハンドルを押す)より左にする(同様に船外機のハンドルを引っ張る)方が力を要すことなどで分かります。

実は、幅130mm×長さ110mmほどの小さい平板ですが、水中では結構効果的なスタビライザの役目を果たしていたようです。スタビライザ(stabilizer)とは、船がローリングやピッチングを起こさないように取り付けられる安定器(板)なのですが、この場合片一方しか付いていないので、右側にブレーキが掛かった状態になり、右旋回したようです。そのまま使用しても日常、それ程苦にはなりませんが、なんとなく気持ちが悪いので、左側にも同形・同大の平板を取り付けることにしました。

スタビライザ2→クリックで拡大 スタビライザ1→クリックで拡大 写真が新たに取り付けたスタビライザです。振動子を取り付ける必要がないので、同形のアクリル板に 2mm厚のステンレスL字ステーを接着剤で貼り付け、出来上がったスタビライザを右側と対称になるようトランサムに貼り付けました。角度も下向き約 5°になっており、水中では同程度の抵抗になるかと思います。振動子の取り付けと同様に、この部分にはかなり大きな水圧が掛かると思われるので、L字ステーにはトラス状の補強を入れています。

以上のような造作を行った結果について、残念ながら今のところ試乗のための釣行に出かけていません。年度末で慌ただしく時間が取れないのですが、「カレイ」が良い季節になってきたので、春の休みになったら試しに行こうと思っています。結果は続報でお知らせする予定です。お楽しみに。

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2002年 4月 7日
造作の結果

3月の末、魚探振動子とバランスを取るため取り付けた「スタビライザ」、その効果を見ることも含め 3月末と 4月始めに 2回釣行しました。結果的には大正解で、走行安定性、特に右旋回気味だった挙動は全く無くなり、ハンドルを手放しにしても直進するようになりました。また、気のせいかもしれませんが、ボート内で立ち上がった場合に左右安定性が増したように思います。理屈的には安定性が増す(ローリングに対して抵抗となる)ことは分かりますが、幅 130mmほどの板きれ 2枚が それ程の効果を現すとは驚きです。今回は失敗が転じて成功となった好例に終わりました。

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2002年 5月 12日
バック・ライト付きディスプレイへの改造

前述しましたが、ボートに取り付けたGPS魚探は、葵ソニック株式会社(SONIX) 製の「SSV-31」です。「SSV-31」は 3.8インチの液晶モニタが付いていますが、バック・ライト付きでないため、夜間やマズメ時には視認性が良くありません。2001年 7月時点では最新モデルだったのですが、たまたま2002年 3月にメーカーのホームページを見たら、バック・ライト付き新モデル「SSV-31L」が発表されていました。スペック的には「SSV-31」と同等で、バック・ライト付きのため消費電力が 4Wから6Wに変更されています。外観も全く同じであった事から、「ダメで元々」という気持ちでメーカに改造の可否を問い合わせてみました。

メーカーからの返事は、改造費込み 2万円でOKという事でした。SSV-31の標準価格が 98,000円、SSV-31Lが 118,000円ですから、標準価格の価格差のみで改造をお願いする事が出来ました。葵ソニックさんの良心的な対応に感激すると共に、大変感謝しています。

早速、改造をお願いする事にしました。販売店を通じて発送していただき、約1週間で返送されてきました。外観的には、フロント・マスクがグレイからブラックに変わっていましたが、これは製品の仕様変更のためだそうです。届いてすぐに試してみますと、暗いところは勿論、日中でもかなり見やすくなりました。GPSプロッタに記憶されたデータもそのままで、最初からバック・ライト付きを購入したのと同じですし、バック・ライト付きの新製品が発表されたときの悔しさが一気に解消しました。大変良心的に対応していただいた「葵ソニック株式会社」にお礼を申し上げます。ありがとうございました。

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2002年11月 9日
魚探ボックスの製作

魚探ボックス→クリックで拡大 真夏の釣行では、魚探本体やディスプレイが直射日光でかなりの高温になります。この温度自体(50度くらいまで)は問題ないようですが、ディスプレイの表示が黒っぽくなって見えにくくなります。陽が出てしばらくするとディスプレイの表示が見えにくくなるので、手元のタオル(かなり生臭く濡れている)を本体に被せて日よけにしていました。この夏は特に暑く、午前8時頃には背中がジリジリするほどで、魚探は殆ど生臭いタオルの下で休んでもらっていました。

暑い夏は何もする気が起きなかったのですが、9月も終わりになった頃、魚探全体を覆うボックスを作りました。横からの視認性は悪くなりましたが、本体への日光直射が緩和され、ディスプレイへの影響も少なくなったようです。まだフロントのカバーを作っていないのですが、雨やしぶきに対しても強くなったと思います。もともと魚探本体は防滴構造なのですが、外部接続の端子部に海水が付着したままだと錆びるようですし、本体各部の防水パッキンも永久的とは言えません。そのような意味で、ケースに収めることのメリットは結構あるようです。

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2002年11月17日
ボックス・ドアの追加

カバーを開けた状態→クリックで拡大 魚探ボックス・カバー→クリックで拡大 前回は魚探のボックスを製作しましたが、今週はまだ作っていなかったフロント・ドア(カバー)を取り付けることにしました。3mm のアクリル板(ブラウン透明)でドアを作り、魚探を使用しないとき、雨やしぶきが多くかかるような場合は、写真のように前面を覆えるように改良しました。魚探を見るときは、ドアを跳ね上げ、写真のようにドア本体をボックス内に収納できるよう工夫しています。

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2002年 3月18日 初版
2002年11月17日 改訂3


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