Boat & Fishing / AOKIDS Home Page

Top > Trailer >> 運転について


Trailer トレーラ

運転について



このページでは、トレーラ牽引時に注意しなければならない一般的な「知識」を解説します。知識を得た後は「知識」の上に立った「実践」が大切であることを肝に銘じ、積極的にトライしてもらいたいと思います。なお、「牽引免許」を所有されている方には「当たり前」の事だと思いますが、初めての体験者、未知の体験者を対象に記述していることをご了承下さい。


後退走行

初めてトレーラを牽引して戸惑うこと、「前進のカーブは尾ひれが付いたようで左折後方は注意しなければ...」とか「発進や凹凸で連結器の音が気になるな...」など比較的軽い戸惑いで始まりますが、初めてスロープへアプローチするときに最も大きな戸惑いと遭遇するようです。それが「後退走行」です。

何度か釣行を重ねるとアプローチの数も自然に増え、そのうち戸惑いもなくなり、アプローチ自身がおもしろくもなります。最初は知識だけで操作していたものが自然に体が動くようになります。「習うより慣れよ」、どこかで聞いた言葉ですが、基本的な知識があり、その上に体験による試行錯誤を経験していくうち、「心配」も次第に薄らぎ「自信」へと変わっていくようです。

普通に後退すると→クリックで拡大 先ずはトレーラを牽引しないで、右側へ後退する場合を考えてみましょう。図の左側がこれに相当します。(1)ハンドルを右に回して後退すると、(2)フロントを少し左に振って後部は右へ向きます。「前進でも後退でも、曲がりたい方向にハンドルを回せばよい」というのは、自動車教習所の後退教習で初めて学ぶことです。最初は戸惑いますが、普通はそのうちに慣れます。
 次に図の右側を見てみましょう。この図はトレーラを牽引して後退している図です。牽引していないときのように右へ曲がるのだから、(1)右へハンドルを回して後退すると、図のように、(2)トラクタ(牽引車)は右へ曲がりますが、トレーラはそのまま後ろへ、それどころかトラクタの後部が右へ振れるので、トレーラ前部は右へ引っ張られ、後部は逆に左へ向きます。初めてトレーラの後退を経験すると、全く予想外の挙動を示すためパニックになることもあります。連結部は「くの字」に折れ曲がり、そのまま後退を続けると、トラクタがトレーラに衝突します。前進時の急ブレーキなどでも起こりますが、折りたたみ式の「ジャック・ナイフ」に似た状態なので、「ジャック・ナイフ現象」といいます。

トレーラの後退→クリックで拡大 では、トレーラを正しく右側に導くにはどうしたらよいでしょう。図をご覧下さい。トレーラは押された方向に素直に移動しますので、右に曲がりたければ、まずトレーラの後部を右に向けます。そのためにはトレーラの前部を左に振ればよいことになりますので、最初は曲がりたい方向とは逆にハンドルを回します。(1)ハンドルを左に回しながら後退すると、(2)トラクタの後部は左に振れ、それに引っ張られてトレーラの前は同じく左に振れるので後部は逆に右を向くようになります。(3)次第にハンドルを戻して直進状態で後退を続けると、この角度は更に大きくなりますが、希望する方向の少し手前から、(4)今度はハンドルを逆に回し、トラクタとトレーラを直線状態に戻し始めます。(5)直線状態に近くなったら、ハンドルを直進に戻し、(6)完全に直線になったらそのまま後退します。

ハンドルの方向を変えるタイミングは何回も練習して体で覚えるしかありません。教習所のようにいつも同じコースを走るのとは訳が違いますので、「この角度になったらハンドルを戻す...」などと頭だけで覚えるとなかなか上達しません。

トレーラの後退直進→クリックで拡大 トレーラの後退で曲がりたい方向へ曲がるのは理解できたでしょうか。それでは次に真っ直ぐ後退する方法を説明します。上の理屈が分かれば、この理屈も簡単です。
トレーラの後部はハンドルを回した方向と逆へ振れることを確認しましたが、真っ直ぐ後退する場合、トレーラの後部が右へ振れ始めたら、それを左へ戻すようにハンドルは右に回します。逆に左に振れ始めたらハンドルを左に回せば元に戻ります。すなわち、まっすぐ後退するには、トレーラの後部が動く(振れる)方向に少しハンドルを回して方向を調整するということになります。ちょうど「カー・チェイス」のように、前の車を追うつもりで、この場合はトレーラを後ろ向きに追うつもりで次々とハンドルを操作していけば、若干の蛇行にはなりますが、おおむね直進できます。

トレーラの後退操作におけるハンドル操作とトレーラのレスポンス(反応)は、トレーラの連結部からトレーラ車軸までの長さによって少し異なってきます。この長さが短いほどレスポンスが高く、ハンドルの動きに敏感です。レスポンスが良いというのは、ほとんどの場合歓迎されるのですが、トレーラの運転に関してはあまり歓迎されるとは言えません。あまり反応がよいと、よほど先を読んだハンドル捌きをしないと、ハンドル操作が遅れぎみになり、なかなか思った方向に行けないジレンマに陥ります。したがって後退に限れば、「軽トレーラ」より「普通トレーラ」の方が反応が緩慢な分、運転しやすいと言えるかもしれません。いずれにせよ、急激なハンドル操作はトレーラの動きを制御しにくいので、後退走行は慌てずゆっくりと、慎重にアプローチする必要があります。

トレーラの後退を説明した最後に、トレーラのドライブ・シミュレータを紹介します。リンクのページにも掲載している「小坊主」さんによるホームページ Trailer Park では、Javaによる「トレーラ・ドライブ・シミュレータ」が公開されています。実際の運転とは感覚が異なりますが、トレーラの挙動については十分理解できると思います。是非お試し下さい。
「小坊主」さんのホームページ : http://homepage3.nifty.com/jodo/trailer/

2006年12月11日
 2003年10月13日から上記「小坊主」さんのホームページへのリンクを探して欲しいという記事を掲載していたのですが、今朝、けん引免許を取ろうとされている方からメールをいただきリンクが繋がりました。その方も探しておられたようですが、3年ぶりのリンクとなります。ありがとうございました。

このページの先頭へ


一般走行

後退走行は初心者には意図しない挙動をするため特別の思いがありますが、前向きに普通に走る場合は、牽引していない状態とそれ程の違いはありません。ところが、その安心が思わぬ事故を招く場合があります。数百キロのトレーラを引いているのですから、ハンドルを握ったら、それなりの心づもりが必要です。以下は一般走行時の諸注意を列挙しました。

運転免許について

Trailer >> ボート・トレーラの基礎 で述べているように、被牽引車(トレーラ)の車両総重量(トレーラとボートなどの装備品を合わせた重量)が750kgを超える場合(道路交通法第85条、車両総重量に関しては第75条)、牽引免許が必要となります。

このページの先頭へ

全長に対する注意

後部に 4〜7m のボートを搭載したトレーラを牽引するため、牽引車の先端からボート後端まで全長 7〜12m にもなります。普段はこれほど長い車を運転する機会が少ないので、「後ろに長尺物を引っ張っている」という意識を常に持って運転する必要があります。カーブでの脱輪、接触(器物・自転車・歩行者など)には十分な注意を払います。トレーラの内輪差も連結器の角度が急なほど大きくなるので、狭い交差点などは特に注意します。また大きなボートのため、後部の死角が極端に多くなります。運転席やボートの高さにもよりますが、ボートの後ろ 数十m の下側は全く見えません。

全長が長いと走行中ばかりでなく、駐車場などでも不便をします。縦に 2台分の駐車スペースを探すのも大変ですが、空いていると思って入れた駐車場が出庫時には周りに車が一杯でなかなか出られないというトラブルもあります。もともと普通車サイズ ギリギリの駐車場では、長い尾ひれの付いたトレーラをスムーズに移動すること自体が結構難しいので、入場時から周りの状況を十分見て、出場時のことを考えた上での駐車が必要です。また、他の車の通行に邪魔にならないような配慮も必要です。

このページの先頭へ

狭い道路での注意

初めての場所へ釣行する場合、釣場や駐車場を探すため思わぬ路地に迷い込むことがあり、時には「袋小路」に唖然とすることもあります。前述したようにトレーラ牽引中の後退走行は曲がりたい方向とは反対にハンドルを回さなければならないので、狭い場所では厳しいと思います。クランクや方向変換を余儀なくされた場合、切り返しは難しいので、思い切ってトレーラとの連結を外し、安全な場所に移動します。その後、トラクタを所定の位置へ移動した後、トレーラを手で引っ張って移動し、再び連結する方法が良いと思います。無理に悪戦苦闘するより、はるかに短時間で切り抜けられます。道路が極端に狭く、対交できない場合は、事情を話して相手側に後退してもらう方が無難です。いずれにせよ、狭い路地には立ち入らないことが肝要です。

このページの先頭へ

ジャック・ナイフ現象

トレーラの連結部は自由に折れ曲がるよう作られていますが、トラクタとボートの位置関係からその角度には限度があります。折れ曲りが大きいと、折りたたみ式の「ジャック・ナイフ」に似た状態になるので、「ジャック・ナイフ現象」と言うことは前述しましたが、「後退時に無理な角度を付けると、ボートがトラクタに衝突し、場合によっては双方の車両や連結器を破損するこになります。それより怖いのは前進時にジャック・ナイフ現象が起きる場合です。高速道路走行時など、比較的速い速度で急ブレーキを掛けると、トラクタは自前のブレーキで停止しようとしますが、重量のあるトレーラは慣性によって今来た方向にそのまま進もうとします。渋滞時の衝突回避や高速カーブでトラクタのハンドルを急に回すと、トラクタは左右へ移動するのにトレーラは直進するため連結器に角度が付きます。トレーラの慣性が大きいと、トラクタの連結器は斜め後ろから無理やり押されることになり、回避できない「ジャック・ナイフ現象」が起きてしまいます。高速道路などで大型トレーラが横転事故を起こす原因の多くがジャック・ナイフ現象と言われています。

前進時のジャック・ナイフ現象を回避するには、急制動時にトラクタとトレーラに角度が付かなければよいので、急制動に伴う急ハンドルを避けることしかありません。高速道路(特に渋滞後尾)、下り坂の急カーブなど速度の出やすいところ、交差点など急ブレーキが予想される場所では特に注意が必要です。ジャック・ナイフ現象に関する事故を防ぐには、急な制動、急なハンドルを避ける事が大事ですが、これには周りの状況を十分把握出来る安全な速度、安全な車間距離、そして安全運転に徹するしかありません。

このページの先頭へ

後退時やその他の注意

トレーラ牽引時の後退が難しいことは何度も説明しましたが、実際の道路や駐車場では後退する必要が結構あります。後退時には特異な挙動を示しますから、細心の注意を払って運転に臨みます。「何気なしに後退する」と、トラクタとボートの衝突や思わぬ事故につながることを肝に命じておきましょう。

雪、凍結、雨、濃霧、強風などの気象条件、砂利道やぬかるみといった道路条件では一般車でも十分注意しなければならないのですが、トレーラを牽引した状態では更に一層の注意が必要なことは言うまでもありません。

トレーラを牽引している場合、高速道路の最高速度は 80km/h に制限されています。また、重被牽引車を牽引する牽引自動車は道路の一番左側車線を通行することが義務づけられています。重被牽引車とは車両総重量が 750kg を超えるトレーラを指します。

このページの先頭へ

高速道路料金やフェリー料金について

高速道路や有料道路などの通行料金は、大体 1ランク上の料金が適用されるようです。料金区分がそれ程多くない場合は、トラクタと同じところもあります。全ての道路が統一された課金ルールではなく、その道路の管理組織によって異なります。また、厳密なルールを適用しないで、料金徴収者の判断に任されている場合もあります。

フェリー料金は殆ど「長さで区分で課金」されますから、トラクタとトレーラの全長を足した長さに相当する貨物車クラスの料金が適用されることが多いようです。場合によっては、トラクタとトレーラを切り離して課金した方が安くなる場合もありますが、フェリー会社によって異なりますから、受付で相談してください。

このページの先頭へ

2002年 3月 2日 初版


Top > Trailer >> 運転について

Boat & Fishing / AOKIDS Home Page